コメディカル
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アメリカで足病を起点に医療の常識を覆す

日本と同様に高齢者数や糖尿病患者数が増加傾向にあるアメリカ。糖尿病患者は10年間で約1,000万人、高齢者人口は約1,700万人の増加が見込まれ※、生活習慣に関連する疾患の医療ニーズの高まりが予想されます。この社会課題に立ち向かうべく、CUCは2024年よりアメリカでの事業展開を決断しました。その第一歩として選んだ「足病領域」への挑戦を追います。 ※National Library of Medicine Diabetes | 2030: Insights from Yesterday, Today, and Future Trends CUC/Beyond Podiatry(アメリカ中西部)

アメリカで足病を起点に医療の常識を覆す

生活の質に直結する下肢の問題

「足病は生活の質に深刻な影響を及ぼす問題」

そう語るのは、アメリカで10年以上足病クリニックの運営に携わってきたナンシー・マダイさん。足病とは下肢の変形や血流障害、感染症などによって日常生活に支障をきたす疾患で、外反母趾やアキレス腱の損傷、糖尿病性足潰瘍などが代表的です。日本では整形外科医や皮膚科医が対応しますが、アメリカではPodiatrist(足病医)が専門としています。

 

その足病に特化したクリニックを展開するのが「Improve mobility and enhance quality of life for our patients.(患者様の活動性を高め、生活の質を向上させる)」をビジョンに掲げるBeyond Podiatryです。アメリカの足病クリニックは小規模な施設が多い中で、Beyond Podiatryは中西部を中心に34か所のクリニックを展開。ナンシーさ ん は 、患 者体験の向上に向けたオペレーション構築を担っています。

 

「足病を患うと日常の行動に制限が生じるだけでなく、脚の切断や死に至る場合もあります」とナンシーさんは言います。足病は加齢による筋力の低下や関節の摩耗、生活習慣の乱れなどが引き金となります。アメリカではリスク因子となる糖尿病患者や高齢者が増加する一方、受け皿となる医療機関の多くが医師の高齢化や人手不足で持続的な運営が困難です。この課題を解決するため、CUCは2024年1月にBeyond Podiatryと連携しました。

Nancy Madaj(ナンシーマダイ) Beyond Podiatry Vein(下肢静脈瘤)事業 マネージャー
Nancy Madaj(ナンシーマダイ) Beyond Podiatry Vein(下肢静脈瘤)事業 マネージャー

患者様の生活の質向上のため異分野の越境を支援

Beyond Podiatryの特徴は、足病とは別に診ることが多い下肢静脈疾患の診察も行っている点。下肢静脈疾患とは足の静脈の機能が低下し、血液がスムーズに心臓に戻らなくなることでコブができる疾患です。アメリカでは血管外科医の専門領域で、足病医とは必要な資格が異なります。これらを一体的に診る意義を事業企画担当の中村春紀さんはこう語ります。

中村 春紀(なかむらはるき) 株式会社シーユーシー  米国事業部門  Beyond Podiatry 事業企画
中村 春紀(なかむらはるき) 株式会社シーユーシー 米国事業部門 Beyond Podiatry 事業企画

「足病と下肢静脈疾患は併発する場合も多く、足病の診察で下肢静脈疾患に気づくことも少なくありません。足病医が早期に血管外科医につなげることが望ましいのですが、医療機関が遠かったり連携の仕組みがなかったりして紹介や連携が進みにくいんです」

 

ビジョン実現のためには、下肢静脈疾患の患者様を支援しない選択肢はありません。CUCとの連携後、Beyond Podiatryは専門クリニックの買収や足病医と血管外科医の連携プロセスの強化を本格化させました。特に注力するのが、下肢静脈疾患の患者様を見逃さないことです。医師の診察のみならず、患者様へ直接アプローチをしている点が特徴だと中村さんは言います。

 

「足病で受診する方の問診票に『足の痛みなどの自覚症状』『検査の希望の有無』を聞く項目を追加しています。症状があり、検査を希望する場合はコールセンターから連絡が入ります」

 

患者様自身に自覚症状や治療の希望がない場合でも、治療の必要性があれば系列の下肢静脈疾患クリニックへ紹介します。当初は医師の判断に委ねられていましたが、症状が進行する前に治療を始めた方が予後が良いため、問診も加えました。

 

こうして下肢の健康をサポートする中で、患者様が自身の「生きがい」を取り戻すケースもあるとナンシーさんは振り返ります。「脚にひどい痛みがあり、趣味のテニスを何年もできていない方がいらっしゃいました。しかし治療を経て病状が改善し、再びテニスを楽しめるようになったんです。患者様が自分らしい生活を取り戻し、好きなことに挑戦できる手助けができたのだと実感しました」

患者様の成功体験を増やすために、今後は拠点数拡大のほかAIを活用した再診患者へのオンライン診療や予約・処方・電子カルテ作成の自動化などに取り組んでいきます。Beyond Podiatoryは今後も患者様の生活の質を改善し、その先にある生きがいを取り戻します。