医師
NRHA・NRHA会員の取り組み

365日親子に寄り添う次世代の小児科

国内の共働き世帯は今や子育て世帯の7割近くにのぼり※、育児と仕事の両立は大きなテーマとなっています。忙しい日々の中で「子どもが体調を崩しても平日は休めない」「発育の悩みを相談できる人がいない」そんな声も聞かれます。2020年にふじみ野で開院した「あんどこどもクリニック」は、経営支援を行うCUCとともに年中無休の診療を土台に親子に寄り添うクリニック体制を築き、2024年に多摩平、2025年に大宮へと拠点を広げています。医師と支援メンバーがチームで挑む新しい小児科のモデルを紹介します。 ※総務省「労働力調査」(2023年) 医療法人せせらぎ あんどこどもクリニック(埼玉県さいたま市・ふじみ野市)

365日親子に寄り添う次世代の小児科

親子の“困った”に寄り添うこれからの小児科モデル

あんどこどもクリニックふじみ野の院長・布施至堂さんは、2020年当時、埼玉の大学病院で小児救急に従事していました。日々多くの小さな命と向き合う救急の現場には、休日や夜間に受診先を見つけられずに訪れる親子が多く、いざというときに頼れる小児科の不足を痛感していたといいます。「救急外来に来る子どもの多くは、必ずしも高度な治療を必要としているわけではありません。身近なかかりつけ医が休診のため行き場を失ってしまっている。その状況を何度も目の当たりにし、『365日開いている地域の小児科が欠かせない』と感じていました。」

  

その理想に共鳴し、ともに歩み始めたのがCUCの支援チームです。創業以来、高齢者医療を中心に経営支援を行ってきたCUCは患者視点の医療を推進するために、支援領域を小児科にも拡げようとしていました。あんどこどもクリニックの経営支援を担う露木大海さんは語ります。

布施 至堂(ふせ みちたか)あんどこどもクリニックふじみ野 院長小児科専門医
布施 至堂(ふせ みちたか)あんどこどもクリニックふじみ野 院長小児科専門医

「小児医療には地域ごとの偏在があり、土日や祝日に空いている小児科は多くありません。小児医療の需要と供給のすれ違いが生まれるなかで、『お父さん・お母さんが安心して子育てできる環境を整えたい』という思いから、私たちは2020年に小児科クリニックの経営支援に踏み出しました。」
 
医師の志と、CUCの知見が重なって生まれたのが、徹底して親子に寄り添う小児科の形です。土日祝日を問わない365日診療をはじめ、発熱患者と健診・予防接種の待合室を分けて院内感染を防ぐ工夫や、待ち時間を減らすオンライン予約など、仕事を休めない親が頼れる診療の仕組みを現場の声を起点に整えられていきました。

さらに、「小児科外来」を中心に据え、発達の遅れや特性が気になる子どものための発達外来、日常生活に支障のある子どもを支援する小児リハビリ、急な発熱などで登園・登校できない子どもを預かる病児保育まで地域と連携して運営を行うことで、幅広い子育て世代を支える「総合小児医療プラットフォーム」の構築を進めています。

  

開院後、土日・祝日の受診者数は平日の1.2~1.5倍にのぼり、車で30分以上かけて通うご家族も少なくありません。ある母親は「急な発熱でも診てもらえる場所がある安心感は大きいです。先生方が体調だけでなく成長のことまで気にかけてくださるので、子育てを一緒にしてもらっているように感じます」と話します。

露木 大海(つゆき ひろうみ)株式会社シーユーシー小児科領域担当経営支援
露木 大海(つゆき ひろうみ)株式会社シーユーシー小児科領域担当経営支援

共感から広がる拠点展開と新たな挑戦

あんどこどもクリニックはふじみ野に続き、2024年5月に多摩平、2025年4月に大宮と新たな拠点を開院。ふじみ野で培ったモデルを基盤にしながら、親子を切れ目なく支える機能を拡充しています。

 

拠点の広がりを支えているのが、新たに加わる仲間の存在です。あんどこどもクリニック大宮サクラスクエアの院長として参画を決めた坂本航さんは、大学病院で小児救急・集中治療に携わってきました。命を救うやりがいを感じながらも、「もっと子どもの生活に近い場で寄り添いたい」という思いを抱いていたといいます。かつて布施さんと同じ病院で働いた経験があり、その姿勢に影響を受けていました。

 

「親御さんの不安な気持ちにしっかり耳を傾け、科学的な根拠に基づいて“安心”を返す。不必要な検査や投薬などの過剰医療のない“正しい医療”を行うこと。布施先生が実践していた診療を見て、これこそ自分がやりたかった小児科医療だと強く感じ、大宮での新たな挑戦を決意しました。」

 

経営支援を担う露木さんは「先生方の想いが長く続くよう、仕組みで支えていきたい」と語ります。医師と支援チームが一体となって築いた診療体制は、忙しい時代を懸命に生きる親子に寄り添いながら、多くの共感を集めて全国へと広がろうとしています。「子育てを一緒に。」その理念のもと、今後も診療体制の拡充を進めていく予定です。

坂本 航(さかもとわたる)あんどこどもクリニック大宮サクラスクエア 院長小児科専門医
坂本 航(さかもとわたる)あんどこどもクリニック大宮サクラスクエア 院長小児科専門医